屋上・屋根
建物全体の部位の中でも、特に屋上や屋根は風雨・直射日光・大気汚染などの厳しい自然環境に直接さらされてしまう箇所です。
どんな建物でも時間の経過(経年変化)とともに自然の影響を受け、他の部位に比べて劣化が著しく進行してしまうものです。
屋上・屋根に関する建築後の維持保全は、特に細かな注意が必要といえるでしょう。
屋上・屋根でのメンテナンス上の留意点をご説明しましょう。
1.事故の防止
利用者の方が誰でも上がることのできる屋上には、危険防止のため、設備機器の周囲に柵が設置されています。
不用意に柵の中に入らないよう、設備機器の出入り口には必ず鍵を掛けておきます。
また、設備機器や塔屋に昇るためのタラップ等は、関係者以外が利用できないように配慮することが必要です。
手すりやタラップ、柵などは、錆びたり腐食したりすると生命にかかわる事故に繋がる恐れがあります。定期的な点検とお手入れを行ってください。
警告
フェンスに囲まれた受水槽やポンプ室、変電室などに無断で侵入したり、設備の操作を行う行為は、絶対におやめください。
機械が停止したり、思わぬ事故を引き起こしてしまう可能性があります。
特に小さなお子様の侵入には十分に気をつけてください。
受水槽には多量の水が貯蔵されており、ポンプ室や変電室には、高圧の電気設備が収納されています。
専門の方以外にとっては、極めて危険な場所です。
2.防水層
屋上の床がコンクリート仕上の時、そのコンクリートは防水層を保護する「防水押さえコンクリート」である場合があります。
この防水押さえコンクリートに穴を開けたり、工作物(アンテナなど)を支持するためのアンカーボルトを打ち込むことは、コンクリートの下の防水層を傷つけ、漏水の原因を作ってしまいます。
防水層が露出しているタイプの屋上では、防水層の上を人が歩いたりしないように注意しなければなりません。
点検などのため止むを得ず歩行する場合は、防水層を傷めないようにゴム底の靴などを着用します。
3.波形スレート葺、瓦棒葺屋根
波形スレート葺、瓦棒葺で仕上げられている屋根は、歩行することで屋根全体に影響する荷重が加わり、割れが広がったり、噛み合わせの緩みが生じたりして漏水の原因になることがあります。
点検・清掃の際は、専門業者への委託をおすすめいたします。
4.ドレン(排水溝)
屋上、ベランダ、外廊下などのドレンは、落ち葉やゴミなどが溜まって水はけが悪くなると、排水性が落ち、漏水の原因となります。
また、流れ難くなった水が他の経路へ流れ出し、建物を汚したり傷めたりする場合もあります。
こまめな日常点検と清掃を心がけましょう。
特に、台風や大雨の前後には、必ず点検するようにしましょう。